医療コラム
「ピロリ菌~幽門に巣食う螺旋の細菌」 BY黒川先生
ヘリコバクターピロリといえば最近、一般人にも知名度が高い細菌です。健康診断や胃カメラなどの検査で感染しているかどうか調べるからだと思います。この菌は衛生状態の悪い水などから口を通して感染し、胃酸の海の中である胃に住み続けます。本来であれば普通の菌は胃酸によって溶けて死んでしまいますが、ところがピロリ菌はなんとか胃酸を中和することによって胃の粘膜に住み続けることができるのです。進化ってすごいですね。割と胃の出口(幽門)付近に住むので幽門を指すピロリの名前がついています。ちなみにヘリコは螺旋の意味、バクターは細菌
のことを指すバクテリアから来ております。
住んでるだけであればいいのですが住んでるうちに胃の粘膜を障害する物質を出したりして胃炎や胃がん、胃MALTリンパ腫や機能性胃腸症、特発性血小板減少性紫斑病などを引き起こしてしまいます。そのため検査や治療が必要とされるのです。
採血、便、息、胃カメラの生検でを調べることでヘリコバクターピロリの感染の有無がわかります。感染しているのがわかったら除菌をします。抗生剤2種類と胃薬を1種類一週間飲んでもらいます。お酒は飲まないようにしましょう。除菌をしてすぐの場合、まだヘリコバクターピロリがいても間違った検査結果が出る場合があるので除菌をしてから一ヶ月後、胃に菌がいなくなっているかの検査に来てください。もしここでヘリコバクターピロリの感染が続いているのであれば抗生剤の種類を変えてもう一度除菌をすることになります。2度の除菌が終わるまでに大体9割の人が除菌完了となります。
ピロリ菌は感染している確率が割と高い菌です。最近は衛生状態も改善されていますが、日本でも40代以上の人は半数が感染していると言われています。一度も検査したことがないのであれば定期検診や胃カメラをやる際に調べてみてはいかがでしょうか。
Written by Dr Kurokawa 2022.7.15