医療コラム
その脂肪肝、ほっといていいの⁈
みなさま、こんにちは。今日は、ある特定の方にとっては耳の痛い話です。
「健康診断で毎年脂肪肝ってかかれるんだよな~。まぁ、毎年のことだからいっか。」
「運動と食事を心がけてくださいってよく書かれるけど、具体的にどうしたらいいんだろ?」
「徐々に体重増えて3次成長期⁈」
心当たりある方はご用心!近年、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)が激増しており、肝炎ウイルスやアルコール性肝炎を抜いて肝硬変、肝細胞癌の原因第一位となる見込みです。世界的には4人に1人は、非アルコール性脂肪肝NAFLDという統計もあります。NASH/NAFLDは読んで字のごとく、アルコールが原因ではない脂肪肝(炎)で、徐々に進行し最終的には肝硬変に至る疾患です。生活習慣の乱れにより肝臓に慢性的に脂肪が蓄積することで、肝臓内で炎症や異常な代謝反応が促進され、肝臓が少しずつ固くなっていきます。最初のうちは自覚症状はありませんが、肝臓が硬くなるにつれ様々な症状が出てきます。
脂肪肝の皆様、ご安心を!今脂肪肝の方も、対策を講じればまた元気な肝臓に戻すことができます。しかし、これは中等度の肝障害までです。硬くなりすぎた肝臓を元に戻すことは難しく、現在世界中で治療薬が研究されているところです。小生も5年ほど新規治療薬開発に携わっておりましたが、新薬が使用できるようになるまではまだまだ道のりは長そうです。現在のところ、硬くなりすぎた肝臓に対する治療法は肝移植のみです。肝臓外科医として肝移植にも携わっておりましたが、ドナー不足や、生涯にわたる免疫抑制剤の内服などなど、肝移植は患者さんもご家族もとてもとても大変です。
脂肪肝を元気な肝臓に戻す方法は、適切な運動と食事です。耳にたこができるくらい聞いたこのワード、地味だけどこれが最強最善の方法なのです。肝臓に脂肪が蓄積している方は多くの方が全身にも脂肪が過剰に蓄積しています。実は脂肪は生理活性(体に変化をおこす機能)が非常に高く、一般に「脂肪毒性」といわれます。ご想像通り、体にとって良くないことばかりひきおこします。高脂血症のお薬を飲めば、血中の脂質は減少しますが、体についた脂肪を消してくれるわけではありません。そこで、「運動と食事」です。運動は筋トレで筋肉を大きくし代謝を上げ、有酸素運動で脂肪燃焼にアプローチすると良いといわれています。食事は炭水化物・糖質の割合を抑えたバランスの食事を心がけるとよいとされています。思い立ったが吉日です。手遅れになる前に、そのビアホイに払うお金、動画を見る時間、ご自身の健康に投資してはいかがでしょう?
★脂肪肝の程度を調べたい方は当院にご相談ください。
検査方法:血液検査(一般肝機能検査、FIB4-indexの算出など)・CT検査(肝臓形態評価、内臓脂肪評価など)。当院で健康診断を受けられた方は、無料で生活改善・精密検査などのご相談をお受けしますので、受付までご連絡ください。
内科: 024-3718-1000
参考文献など
Younossi ZM, et al. Hepatology. 2023
Diehl AM, et al. Nat Metab. 2019.
Mózes FE, et al. Gut. 2022
https://www.saskatoonnaturopathic.com/