医療コラム
その耳垢とっても大丈夫?(2021年8月26日更新)BY黒川先生
君の耳垢を取りたい... といえば、
君の膵臓を食べたいって小説が数年前に大ヒットしましたね。ホラー小説かと思ったら恋愛小説みたいです。まだ僕は本も読んでいないし、膵臓も食べたことありません。今回は膵臓ではなくて耳のお話です。
たまに耳が痛いということでいらっしゃる患者さんの耳の中を耳鏡という道具を使って観察することがあります。基本的に耳の奥の鼓膜まで見たいので耳垢のない患者さんはすごく楽に観察できます。
しかし実は耳垢は勝手に外に出ていくので耳掃除は基本的に必要ありません。聴力が耳垢で低下すると思う人がいると思いますが珍しいケースです。野生動物は耳掃除をしませんが耳はよく聞こえます。
逆に耳掃除をすることによって耳の内部を傷つけてしまったり、耳垢を奥に押し込んでしまうなどデメリットも多いです。
耳の内部を傷つけてしまうことによって痒みが生じ、それで耳掃除をしてしまう人もいます。ひどいとその傷から炎症や感染を起こし、耳が痛いとのことで受診してしまう人もいますね。
エチケット的な問題もあるので、耳垢を取りたい人は二週間から一月に一回、耳の入り口を綿棒で拭き取るように掃除するのが良いでしょう。耳垢を奥に押し込まないように注意しましょう。
耳垢をとらなければいけないケースは耳垢が溜まりすぎて聴力低下を起こしている場合や、鼓膜が耳垢で見えない場合です。
もし、耳の中が気になる、詰まった感じがする、痛み、痒みがあれば受診をお勧めします。
(2021年8月26日更新)