医療コラム
「COVID-19の情報集めについて」BY久保先生
COVID-19の情報集めについて
こんにちは、さくらクリニックの久保です。
私は11月に日本から来越したばかりで、まだまだハノイやベトナムのことをわかっていませんので日本での現状とベトナムでの現状を単純比較するのは難しいですが、明らかにベトナムでの現状が日本と違うなと思うこと。それは医療機関や医療レベルの差です。
医学において、日本が最先端というわけではありませんし、むしろ分野によっては日本が世界各国に後れを取っている分野も多々あるのが現状です。特にコロナワクチン3回目の接種に関しては、日本はどういう訳か後れを取っており、ベトナムの方がむしろ先を行っているような状況です。
しかしながら、言葉の面も含めて医療とは文化や歴史のひとつであるため、救急の体制や医療機関のかかりやすさなどを考えても、ベトナム内にて日本の医療水準で対応することは極めて難しいのが現状です。特にハノイはCOVIDの流行が今まで少なかったこともあってか、医療スタッフがCOVIDに慣れていないという印象を強く受けます。また、隔離の条件がいきなり変わるなどといった物事が突如流動的に動くのは医療現場でも同じです。
とはいえ、どうしてもこの差をすぐに埋めることはできませんし、対応が日本と違ったとてベトナム政府やベトナム人医療スタッフを責めることはあってはいけません。したがってできることは知識を身につけること、デマに惑わされないこと、ワクチンを打つこと、感染予防をしっかり行うこと。これらが大事ではないかと思います。
【デマのない情報発信】
このうち、デマに流されない・正しい知識を身につけることはとても難しいです。特に医学において今回の新型コロナウイルスのような『前例がない病気』に関しては、毎日のように新しいことがわかってきては軌道修正していくというのが鉄則です。つまり我々医療者は極端な話、1ヶ月前に正しいと考えていたことをすべて捨て、全く逆のことを正しいと言いかねない性質を持っているため、このあたりのことが一般の方を困惑させる原因の一つに思います。
また経済的な観点から考えると、外出制限や行動制限は明らかによくないということは明確な事実であって、医療者とそれ以外の人間では視点が変わってくるのは当たり前かと思います。【行動制限なんてしないで経済回せ VS 経済より医療だろ】というような暴論といいますか極端な話が話題になってしまうこともこのCOVIDを考える意味で難しいところではあります。
医療の情報は正直流動的でわかりにくい。とはいえ、少なくとも私はデマには流されてほしくない、医療的な知識を持っていただきたいという思いが強くあります。そこで今回のコラムでは正しい情報あるいはその段階で分かっている情報を一般の方にもわかりやすく説明してくれている記事やアカウントを2つご紹介したいと思います。
①忽那賢志
https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi
https://twitter.com/kutsunasatoshi
「くつなさとし」先生と読みます。国立国際医療センターの感染症科の専門家としてTVなどでも拝見したことがある方いらっしゃるかもしれません。Yahooにて定期的に連載されて記事が上がっていますが、データに基づき日本の状況と照らし合わせて執筆されています。どれも一般の方を意識した記事になっていますので、参考にされてみて下さい。
②高山義浩
https://news.yahoo.co.jp/byline/takayamayoshihiro
https://m.facebook.com/profile.php?id=100001305489071
沖縄県県立中部病院感染症科の先生です。定期的に記事を書いたりといったことはされていないようですが、取材ではたびたび登場することがあります。一般の方への知名度はあまり高くありませんが、医療の世界においては日本のパンデミック対策専門家として著名です。ご自身のFacebook内でたびたび発信されています。ところどころ難しいことがあったり、沖縄のことを中心に書かれているのでハノイとは違うこともありますが、参考になることも書かれているので、情報収集には良いかと思います。
このほか感染症分科会や厚労省の会議内容なども、じっくり見ると非常に論理的でものすごく有用なのですが、基礎知識としての医学・感染症知識が必要なことと、量が膨大であるため一般の方にはお勧めできないと思います。なお日本のTV局やメディアは、もちろん仕方ないことなのですが経済的なことも考慮して?独自の解釈をつけてしまうのかその意図が伝わっていないことが多かったり、我々医者から見てこの専門家だれ?というような方が出演していたりして有用と思えないことが多々あります。
現状ハノイでは感染者数の落ち着きはありません。日本よりも早く3回目のワクチン接種(ブースター接種)が進められている状況ですが、3回目のワクチンを接種できる機会がありましたらぜひ早めに打つようにされることをお勧めします。最大の予防になることが期待されています。皆様感染対策に気を付けて日常をお過ごしください。
※日本人の12歳以上18歳未満の未成年を対象にしたワクチン接種を開始いたしますが、詳細は日本人学校からの説明書・案内をご参照ください。
※成人のワクチン接種については、ワクチンの供給についていまだ未定ですので接種のご予定は現在のところありません。ご容赦ください。
written by Dr Kubo 2022.1.10