医療コラム
「じんましん」について
みなさんこんにちは、医師の安部です。
今日は2019年9月26日、早いもので今年も残すところ3ヶ月になりました。今月初めにはインフルエンザの患者様がいて、例年よりも流行が早いなと思っていましたが、結局プチ流行程度で済んだようです。もうすぐ季節の変わり目になりますし、年末に向けてお仕事が忙しくなるかたも多いと思いますので、十分な休養と睡眠を心がけてください。
さて、今日はじんましんのお話です。皮膚の病気は様々ですが、その中でもじんましんは最も頻度の高い皮膚疾患の一つで、おそらく今まで経験したことがない方はいないのではないでしょうか。じんましんというと、皮膚に何か赤いボツボツとかができているのを全般的に称するように思われていますが、医学的にはもっと狭い意味で定義付けされています。
それは、「皮膚の一部が突然に赤くくっきりと盛り上がり、短い時間(多くは数十分から数時間以内)であとかたもなく消える」というものです。但し、近い部位に再発することが多いので、一見ずっと消えていないように感じることもあります。そんな時は、マジックで盛り上がりの輪郭をなぞってみてください。数時間後に見たときにその輪郭がずれていればじんましん、一致していれば別の病気の可能性を考える必要があるかもしれません。
じんましんは食べ物や薬剤によるアレルギーによることが多いですが、そうでない場合もあります。物理的刺激、たとえば日光、温熱(お風呂などで体が温まったときにできる)、汗、寒冷(クーラーの効いた部屋に入るとできる)、機械的な摩擦や圧迫であったり、ストレスが原因となる場合もあります。このため、多くの場合で原因を特定することは困難です。実際、成分別のアレルギー特定検査を希望して受診する方も多いですが、最終的に特定に至らないこともしばしばあります。
治療に関しては多くの場合内服薬が選択されますが、内服期間は様々です。一時的な内服で終わることもありますが、そもそもの症状が持続するような場合は年単位で内服を継続することこともあります。じんましんの多くはかゆみを伴い、日常生活への影響も大きいので、お薬を上手に使って治療するのがいいでしょう。
最後に、多くの場合じんましんが命にかかわることはありませんが、じんましんの他に呼吸器症状(息苦しい、呼吸がしにくい)、循環器症状(失神や立ちくらみ)、消化器症状(腹痛や吐き気)を伴う場合は、アナフィラキシーという重症のアレルギーで、緊急の治療を必要とする可能性がありますので、速やかに病院を受診してください。