医療コラム
『妊娠とお薬について』
なお毎回書いていますが、私のコラムはわかりやすさを追求するため、厳密に言うと多少事実と異なる内容もあります(100%とは言い切れないことでも、かなり確率が高ければ断言することがあります。実は医学では、100%断言できることはほとんどないのです)ので、心配な場合は直接クリニックまでお問い合わせください。
重要な点をできるだけ手短にまとめました。
(1)妊娠の時期によって、薬の赤ちゃんに対するリスクは変わります。特に注意が必要なのは、赤ちゃんの体の原型が作られる時期(器官形成期)で、妊娠4週から15週に当たります。下の表を見て頂きたいのですが、最終月経開始日が妊娠0日で、市販の妊娠検査薬が陽性になるのが月経予定日から1週間後くらいになるので、まだ妊娠がわかっていなくても妊娠の可能性があれば、月経が遅れているなと思ったときには薬の使用に慎重にならなければなりません。
(2) 風邪など一時的な体調不良で使われる多くの薬は、赤ちゃんへの影響は軽微です。ですから、器官形成期に薬を飲んでしまったとしても、過度に心配する必要はありません。
(3) 妊娠16週に入ると薬のリスクはだいぶ減ります。お母さんの体調が悪いと胎児の成長にも影響するので、治療効果と薬のリスクを天秤にかけながら薬を使っていくことになります。但し28週以降に入ると、これまで比較的気軽に使えていた解熱鎮痛剤アセトアミノフェン(パナドール、エフェラルガンなど)が、胎児への影響から使いにくくなります。この場合も、治療効果と薬のリスクを考慮した上で服薬の可否を検討することになります。
(4)持病等で定期服薬をしている方(てんかん発作があり抗てんかん薬を内服している方、うつ病などで抗精神病薬を内服している方など)は、体調を維持するために妊娠しても内服継続が望ましい場合があります。妊娠を予定した時点でその薬を継続すべきかどうか処方医に確認することをお勧めします。
当クリニックを受診されていた妊婦さんが、元気なお子様を連れて予防接種や乳児健診にいらした時、これは私共のようなクリニックのスタッフにとっては非常にうれしい時間です。そういう方にいっぱいお越しいただけるよう、スタッフ一同全力でサポートさせて頂きます。