医療コラム
『みずぼうそう』
みなさんこんにちは、さくらクリニック医師の安部です。
さて、今月は「みずぼうそう」を取り上げます。つい先日、当地ハノイでみずぼうそうがプチ流行し、当クリニックにも数名の患者さんが来院しました。昔はありふれた病気でしたが、最近はワクチン普及のおかげでなかなかお目にかからなくなりました。それでも近年の統計によれば、日本では年間100万人程度が発症、4,000人程度が入院、20人程度が死亡していると推定されています。みずぼうそうは主に小児の病気で、9歳以下での発症が90%以上を占めます。成人でも稀に見られますが、成人にみずぼうそうが発症した場合、重症化するリスクが高いと言われています。
【症状】皆様ご存知の通り、全身のかゆみを伴う水疱(水ぶくれ)です。水疱出現の前後に発熱や倦怠感を訴える子供もいます。発症からある程度日数が経過して水疱が全身に広がると診断は容易なのですが、病初期でまだ水の入っていない発疹の状態だったり水疱がまばらな時は、虫刺されや手足口病などでも同じような症状を呈することがあり、皮膚科医でも診断に困ることがあります。我々医師も、子供を1週間近く学校や幼稚園に行けなくするわけですから、安易に診断することはできません。こんなとき、個人的には頭皮の発疹をチェックします。頭皮に発疹、水疱があれば、かなりの確率でみずぼうそうと診断することができます。診断がつくと、すべての水疱がかさぶたになるまで出席停止となります。「すべて」ですので、腹をくくってゆっくりその時を待ちましょう。
【問題点】みずぼうそうがやっかいなのは、(1)空気感染すること、(2)症状が出る前(1-2日前と言われています)からウイルスが体外に排出されていること、です。つまり、まだ診断さえついていないにもかかわらず、周囲にウイルスを撒き散らし、感染を拡大させている可能性があるということです。
【対策】麻疹(はしか)などもそうですが、空気感染する病気への対策はワクチンが有効です。今でこそみずぼうそうのワクチンは定期接種となっていますが、実は定期接種化は2014年10月からと最近で、幼稚園以上のお子さんでは接種していない可能性があるので注意が必要です。是非母子手帳の確認をお願いします。ワクチンによっては1回接種でOKとなっているものもありますが、基本は2回接種です。1回しか接種していない場合、周囲でみずぼうそうの流行が判明した時点で速やかに追加接種をすることでも予防は可能ですが、早めのご対応をお勧めします。
ご不明な点があれば遠慮なくお問い合わせください。