医療コラム
甲状腺の病気
今日は2019年10月29日、日本はこの時期にもかかわらず台風で大変なようですが、皆様のご実家等は被害にあっていませんでしょうか?被害に遭われた方々には心よりお見舞い申し上げます。
ハノイは暑さも一段落し、我々日本人にとっては過ごしやすい気候になってきました。運動の秋ということで、私は先週、ホアンキエム湖周辺で行われたマラソン大会に参加してきました。朝4時半スタートという過酷な環境でしたが、普段は車で何気なく通過している通りを自分の足で走るのは新鮮な感覚でした。コースを間違えるというハプニングもありましたが、無事42.195km(+コース間違い分の4km)を完走することができました。
さて、今日は甲状腺の病気のお話です。最近、健診の結果などから甲状腺の病気が疑われて受診される方が増えています。甲状腺?という方も多いと思いますのでご説明しますと、のどぼとけの下にあり、気管の前に張り付いている臓器で、体の新陳代謝を高めるホルモンを産生しています。
甲状腺には様々な病気がありますが、ホルモンが出すぎている機能亢進(バセドウ病が有名)とホルモンが十分出ていない機能低下(橋本病が有名)が多く、他に癌や炎症などがあります。これら機能異常ではホルモンの量が問題になるので、症状がなく健診の血液検査で気づかれることが多いですが、症状で気づかれる場合もあります。ただ、甲状腺機能異常で出てくる症状は多岐に亘るため、軽症の場合にはなかなか診断がつかないこともあります。以下によくある症状をまとめました。
(1)機能亢進
甲状腺が腫れて首のところが盛り上がったり、眼が突出することがあります。またホルモンが出すぎると体が異常に活発になるので、食欲亢進、多汗、暑がり、体重減少、頻脈、便通異常、手足のふるえ、倦怠感などの症状が出ます。
(2)機能低下
甲状腺が腫れて首のところが盛り上がるのは機能低下でもしばしば起こります。またホルモンが十分出ていないと体の元気がなくなるので、体がむくむ、声が枯れる、食欲低下、寒がり、体重増加、無気力、月経異常などが見られます。うつのように気分が滅入ることもあるので、私は適応障害やうつ病を心配して受診された方にはほぼ全員に甲状腺ホルモンの検査をお勧めしています。
甲状腺の病気は20-40代の女性に多く見られますが、機能低下が圧倒的に女性に多い(男:女=1:20)のに比べて、機能亢進は比較的男性にも見られる(男:女=1:5)、という特徴もあります。
最近、よくわからないけどなんとなく体の調子がおかしい、というような時には、甲状腺の病気が隠れているかもしれません。気になる方は受診してみてはいかがでしょうか。