医療コラム
新型コロナウィルスについて
おはようございます。医師の安部です。
今日は2020年2月3日(月)、さくらクリニックは新年最初の診療日です。このコラム、本来であればクリニックの近況などを冒頭に書くのですが、さすがに今回はそれどころではない状況になっていますので、早速本題に入りたいと思います。新型コロナウイルスについてのお話です。このコラムは一般の方向けですので、学術的な話はしませんし、例外や不確定情報は可能な限り無視してわかりやすさを最優先に書きます。
今回は、主に一般の方が気になる点について解説していきます。
(1)感染経路、予防策について
ヒトからヒトへの感染はほぼ確実です。ただ、同じ空間にいるだけで感染してしまう空気感染ではなく、風邪やインフルエンザと同様、感染者のくしゃみや咳から出る細かい水しぶき(飛沫)による感染の可能性が高いです。ですので、風邪やインフルエンザと同様の対策が望まれます。具体的には、
①手洗いを頻回に行う。
②よく寝て、よく食べる。具合が悪かったら休む。
③人混みを避ける。
④マスクをする(鼻と口をしっかり覆う)。
⑤(もしまだなら)インフルエンザの予防接種を受ける。
手を洗う理由ですが、感染者が手で口元を覆って咳やくしゃみをし、その手でドアノブを触ったりすれば、そのドアノブにウイルスが付着します。短時間であればウイルスはそのまま生存できますので、次はそのドアノブに健康な人が触れ、その手でパンやお菓子でもつまめばウイルスが体内に入ってしまうリスクがあるからです。
(2)症状
新型コロナウイルス感染症では、肺炎の症状、つまり発熱、咳、痰が主症状です。ですので、症状が軽いうちは風邪やインフルエンザとの区別がつきません。ただ、これまでの公表データによれば、鼻水やくしゃみ、のどの痛み、頭痛などの症状はあまりなく、下痢などのおなかの症状はほとんどないことがわかっています。
(3)危険性について
新型コロナウイルスに感染しても、普通の風邪症状だけで特に何の治療をしなくても治る可能性が高いです。死亡〇〇人、というニュースが出ると心配になるお気持ちはわかりますが、亡くなられた方の多くは、高齢者であったり、もともと何らかの疾患があって免疫力が低下していた方です。つまり、普段健康な方が死亡するリスクはそれほど高くないと考えられます。全く健康診断を受けていない方とか、健診の異常を何年も放置し続けている方でなければ、過度に心配することはないものと思われます。
(4)感染が心配な方へ
検査は一般の病院ではできません(日本でも同じです)し、特別な治療法がないので早期発見の意義は乏しいです。ベトナムでも日本でもそうですが、現時点では新型コロナウイルスに感染する確率よりも、普通の風邪やインフルエンザに感染する確率の方が圧倒的に高いです。らしい症状が出現したとしても、まずは慌てないことです。風邪やインフルエンザであれば、しっかり休養を取れば発症から3日もすれば症状はピークを超えます。そこで現時点では、以下の2つをいずれも満たす方ではじめて、新型コロナウイルスの感染を疑うべきと思います。
①風邪症状が出現して、3-5日以上経過しても症状が悪化傾向にある。
②2週間以内に、A. 武漢市内に滞在していた、またはB.「武漢市への渡航歴があり、発熱と風邪症状のある人」との接触歴がある。
また新たな情報が入りましたらこのホームページでお知らせ致します。