Column医療お役立ちコラム

抗菌薬の使用は慎重に!

2024.07.19

今回は抗菌薬(抗生物質)の適正使用についてお話いたします。

ハノイを含め、海外では道端の薬局で安価に薬が買えるうえ、日本では処方箋がないと(医師の診断がないと)

買えない抗菌薬などが手軽に買えてしまいます。ではなぜ、日本ではこういった薬が薬局で買えないのでしょう?

 ハノイで診療をしていると、ご自身の判断や、ベトナム人同僚の勧め等で抗菌薬を内服されているケースによく出会います。

「これ飲んでます」と患者さんに見せてもらう薬の中に抗菌薬が入っていると

「あ~飲んじゃったかぁ。。。」と内心思ったりします。

 なぜ、我々医師が抗菌薬をそう簡単に処方しないのか? 決して出し惜しみしたりしているわけではないのです。

 抗菌薬を乱用すると薬剤耐性菌の増加に拍車をかけてしまうからなのです。

 新しい抗菌薬が開発されている一方、今世界中で薬剤耐性菌が増加しており、将来、

 感染症を治療する際に有効な薬がないという事態になることが憂慮されています。

 例えば、咽頭痛などの「のどの風邪」は9割はウイルス性感染症であり、細菌を殺すための抗菌薬の使用は不要です。

 また、細菌性を疑った場合でも、医師が自然軽快が期待できると判断した場合は、

 抗菌薬を使用しないようガイドラインに記載されています。

微生物(ウイルス・細菌など)はとても賢く、耐性獲得のメカニズムは、

敵ながらあっぱれ!!と拍手を送りたいほどです。抗菌薬により細菌が攻撃されると、「こうやって攻撃された」、

「こうすれば抗菌薬の攻撃から防御できそうだった」などの情報を自分の仲間の菌や菌種を超えて(!)伝達します。

その情報をもとに自分を変化させていくのです。

この伝達は生き残った菌に加え、その死骸の一部だけでも行われてしまうから厄介です。

現在我々ができることは、できるだけ抗菌薬を使わないようにして、菌に抗菌薬の学習をさせないことしかないのです。

我々医師は、「患者さんを早く治してあげたい」でも「抗菌薬はできるだけ使用したくない」、

このせめぎあいの中、最善の一手をくりだすべく日々の診療を行っています。敵は非常に手ごわいです。

彼らに安易にこちらの手の内を知らせてしまうことのないよう、不必要な抗菌薬の内服は控え、

医療機関を受診するようにしましょう。また、処方された抗菌薬は処方箋通りしっかり内服しましょう。

最後に、厚労省主催の薬剤耐性あるある川柳2024 入選作品より一句。 

 ~ 抗菌薬 推さない医師に いいね押す (医療従事者部門 銀賞)~

参考文献など

厚生労働省AMR臨床リファレンスセンター https://amr.ncgm.go.jp/

抗微生物薬適正使用の手引き第二版