医療コラム
便潜血検査について
みなさんこんにちは、さくらクリニック医師の安部です。
今日は6月24日(水)、ハノイ市内の社会的隔離も解除から1か月が経ちました。ほぼ日常生活を取り戻したように見え、当クリニックも通常診療を行っています。ただ、気持ちを緩めすぎないように気を付けてください。マスク着用までは必ずしも要しませんが、引き続き、3密(密着・密閉・密集)には注意が必要です。また今後、現在の鎖国状態が解除されていく過程で感染の第2波が来るのはほぼ確実です。日本では東京など一部の地域でまだ新規感染者が確認されていますので、騒動が収束したと誤解されないようにしてください。
さて、今日は便潜血検査について取り上げます。最近は年1回の健診で受診される方が増えています。大腸がんの早期発見を目的とする健診項目の一つで、陽性になる方がそれなりに多い検査です。
便潜血陽性、つまり便に血が混じっていれば、大腸のどこかにがんがあって、そこから出血している可能性を考えます。では実際に精密検査を行って、そういう方々のほとんどが大腸がんかというと、9割以上の方はそうではありません。多くの場合、痔など肛門付近からの出血で(ご自身に痔があることをご存じない方も多々いらっしゃいます)、治療は不要です。
しかし我々医師は、陽性の方には、痔などの病気があることを自覚されているいないに関わらず、必ず大腸内視鏡検査をお勧めします。というのも、その血が必ずしも痔からだけの出血とは限らないからです。痔があって、さらにがんもあって両方から出血している可能性がある、という理屈です。
大腸がんの早期発見で最も優れた方法は大腸内視鏡検査(大腸カメラ)です。胃カメラと違って、事前に腸をきれいにするための洗浄液を大量に飲むなど、事前準備にやや手間のかかる検査ですが、当クリニックでも行える検査ですので、健診で便潜血陽性となった方は是非ご検討ください。